非常用放送設備には音声警報の機能が必要です
火災時の被害を軽減するために用いられる非常放送設備。従来はサイレンで警報を発するものが一般的でしたが、平成6年の消防法改正によって音声警報を発する機能が必要になりました。また、設備が古いままでは部品の故障や蓄電池の劣化の恐れがあり、早急な点検・改修が必要です。消防設備の改修工事の手がける株式会社アシストでは、非常用放送設備のリニューアルにも対応しています。
非常放送設備とは?
火災が発生した際、建物内にいる人々に対して避難誘導放送を行うために用いるのが非常放送設備です。火災などによる2次災害の危険を軽減する重要な役割を持っています。自動火災報知設備と連動して自動的に警報音や音声警報を発して避難誘導を行うこと、停電時においても内蔵蓄電池を使用して連続で10分間以上放送が可能であることが、消防法で求められています。
サイレン警報から音声警報へ
平成6年1月に、より的確な避難誘導を目的とした消防法施行規則および非常警報設備基準の一部改正が行われました。これにより、それまで用いられてきたサイレン式から音声警報機能付非常用放送設備に関する基準が設定されました。
火災発生場所を自動放送でお知らせ
例:火事です、火事です。当ビル7階にて火災が発生しました。落ち着いて避難してください。
※自動火災報知設備から信号を飛ばして自動放送。
パニックにならないよう段階的に放送
例:ただいま7階の火災感知器が作動しました。係員が確認しておりますので次の放送にご注意ください。
※感知器が発報放送を行った後、火災放送に自動移行(手動のケースもあり)。
火災でなかった場合も原因を明確に報告
例:先ほどの火災感知器の作動は確認の結果、異常がありませんでした。ご安心ください。
※火災でないことを確かめ、非火災スイッチを押すだけで操作可能。
非常放送設備の劣化
非常放送設備に用いられている電気部品・電子部品・ユニットは、設置から長時間が経過すると老朽化が進み、摩耗してしまいます。特に24時間稼働し、万が一の火災に備えている機器は故障しやすいので要注意。また、電子部品を用いた複雑な構造の設備や機器は、10年~12年を過ぎると故障する確率が大幅に高まる傾向にあります。これは、非常放送設備専門委員会の調査で得られたデータでも実証されていますので、その前に点検を行いましょう。
これらの点には注意
- 電子部品の場合は、外観だけで劣化具合を判断することはできません。
- 通常時の放送が問題なく行われていたとしても、有事の際に避難誘導放送が正常に行われるとは限りません。
- 非常放送設備の劣化が進行すると、発煙や発火が起こることもあります。
- 古い設備や機器は修理費用の増大を招きます。
- 使用年数が長くなればなるほど、補修部品が見つかりにくくなる。
古い設備の具体例
非常放送設備の中でも平成6年より前に納入・設置されたものは、サイレンが鳴る機能しか備えておらず、現在運用されている音声警報放送ができません。これでは万が一の火災時に適切な避難誘導ができず、重大な事態が発生する危険も考えられます。
10年過ぎると予想外のトラブルも
非常用放送設備は設置から10年以上経過すると、消防設備法廷点検ではなかなか見つけられない予想外の不具合が生じたり、部品や配線の劣化が進んだり、万が一火災が発生した際に非常放送設備が適切に機能しなかったりすることがあります。
蓄電池の安全圏は4年以内
蓄電池は使用期間が4年以上になると、端子電圧が規格を満たしていても、消防法で規定された10分の放送保持時間が確保できなかったり、蓄電池の破裂や液漏れ、周辺機器の故障の原因になったりすることがあるので注意が必要です。
消防設備定期点検の必要性
非常放送設備は消防法で定められた期間ごとに、消防設備士や消防設備点検資格者による適切な点検が義務づけられています。基準や要領に沿った機器を設置するだけでは、決して十分とは言えないのです。
消防法で定められた点検を行わなかったり、発見した不備を報告しなかったり(あるいは虚偽の報告をしたりする)ことは、絶対にあってはなりません。それが原因となって被害が広がった場合、点検者だけでなく施設の管理者や所有者にも処罰が下ります。非常放送設備をはじめ消防設備は劣化するものと考え、利用者や居住者の安全のために正しく点検を実施しましょう。